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版画マーケットで売買される版画は、オリジナル版画とそれ以外のものに大きく二分されます。
版画を購入する前にその違いを理解することが不可欠です。
オリジナル版画
オリジナル版画について日本現代版画商共同組合のガイドラインでは次のように定義されています。
・版画を制作する目的で作家が下絵を描き、作家自身が木版、銅版、石版、孔版等を自刻(製版)したもの。
・作家自身が自分の手で摺ったり、プレスにかけて刷ったりした作品、もしくは作家の監督下で職人がその指示通りに刷ったもの。
・完成した作品の一枚一枚を作家が容認したもの。
・完成した作品の版面左下に普通、限定番号を、右下に自筆署名したもの。
・1930年以前に制作された版画にはこの原則は適用されない。
版画マーケットの中では、オリジナル版画も有名作家のオリジナル版画とそれ以外のものに大きく二分されます。
有名作家のオリジナル版画は画商の交換会(市)で活発に取引され市場価格が形成されます。当然オリジナル版画であるかどうかということが大変重要になります。
有名作家以外のオリジナル版画には市場価格が付かず、作家又は取り扱い業者の付けた価格で売買されます。オリジナル版画であるかどうかを気にする必要もありません。これらの作品の中には芸術性の高い優れた作品も多く、価格的にも手軽に買えるので、インテリアアートに適しています。
複製版画(エスタンプ)
オリジナル版画以外の版画は「エスタンプ」「復刻版画」「複製版画」などといわれているものです。
以前に出版された版画を、原版を作り直して再発行された版画は「復刻版画」といわれ、刷師のサインや画家本人が亡くなっている場合には遺族のサインか印章がはいるのが一般的です。
日本画、油絵などの原画をもとに版画工房のスタッフが製版、刷りを行った版画は「エスタンプ」又は「複製版画」といわれています。サインなし又は刷り込みサインが普通で、版画工房のエンボスが押されたものが一般的です。
「エスタンプ」とはフランス語(estampe)で「版画」を意味しますが、日本では「複製版画」という意味に使われています。
「復刻版画」「複製版画」が作られるのは有名作家のものが普通です。「復刻版画」「複製版画」も画商の交換会で取引され、市場価格が付きます。当然同じ作家のオリジナル版画より大幅に安い価格となります。
要注意!版画マーケットの裏事情
一般には「オリジナル版画」「復刻版画」「複製版画」の違いが正しく理解されていません。そこを利用して複製版画を不当な高額で売りつけるケースがかなり前から問題となっています。言葉たくみにローンを組ませて売りつけることも多いそうです。ゆっくり考えさせない強引さやしつこさを販売員から感じたらその場から離れるのが賢明です。
複製版画に作家のサインを真似たサインを書き込み、オリジナル版画と偽って販売するケースもあるとのことです。そういうことがあるとしても見分けることは難しいことです。
意図的でなくても複製版画がオリジナル版画と間違って売買されることもあるようです。
なにも「複製版画」が悪いわけではありません、有名作家のオリジナル版画は高額で手が出しにくいのに比べ、複製版画は手軽に購入できます。複製版画であることを明確にして、正当な価格で販売されるならインテリアアートとして歓迎されるべきものです。
新たな事情
もともと版画は印刷技術として生まれたものです。新しい技術や工夫により進化してきました。作家の創作意欲が新しい技法を生むこともあります。
オフセットやコピーを使って表現する作家もいます。彼らの場合は、自分の作品の表現方法としてそういう技法を使っているのですから、れっきとしたオリジナル版画として認められています。
新しく生まれたジクレー版画も、油絵や日本画などの作家が採りいれるケースが増えてきました。一点ものの油絵や日本画の作家が多くの人と作品を通したコミニュケーションをとれる方法として注目されてきたのです。
それらは、作家が自身の専門技法で描いた原画を下絵とし、作家の監修のもとに制作され、作家が容認した完成作品の一枚一枚に自筆サインと限定番号を入れたものです。この場合、日本画や油絵などで描かれた原画が下絵になるので、現状の定義ではエスタンプ(複製版画)ということになりますが、作家の意図と制作プロセスそして自筆サインがあることを考えるとオリジナル版画に近いものです。
「版画」という日本語は木版や銅板など彫られた版の存在を感じさせます。そこからコンピュータとプリンターで制作されるジクレーを版画と呼ぶことに違和感があるようですが、英語で版画を limited reproduction ということを考えると彫られた版の存在にこだわることはないのです。
版画は技術的な進歩の影響を受けて新しい手法が生まれるということを繰り返しています。版画の定義を固定的に考えると実情に合わない面が出てきます。
オリジナル版画かどうかについては、作家の意図に注目するべきではないでしょうか。
インテリアアートとしての版画
有名作家のオリジナル版画はインテリアアートとしては高額すぎますが、新人作家のオリジナル版画は額付で2万円前後のものが多く、インテリアアートとして適しています。
好きな有名作家の絵を飾りたいという方には、複製版画がおすすめです。雰囲気作りの点では同じ作家のオリジナル版画と遜色ないものが手軽な金額(普通は10万円以下)で購入できます。
そして、本サイトで推奨しているジクレーは、作家が一点ものの作品の中から多くの人に飾ってもらいたいという意図のもと作成したものです。ジクレー版画では同じ作品で大きさの異なるものも簡単に作れるので、飾りやすい大きさのものを選ぶことが出来ます。価格もリーズナブルでインテリアアート向きといえます。
版画マーケットの事情
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